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吉田の、吉田による、吉田のための大会。~吉田side story【TGS2019 ぷよぷよチャンピオンシップ特別大会レポート 後編】

りべです。

 

前回の続きです。

 

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吉田の秘密に迫っていきましょう。 

 

 

目次

 

 

 

異様な男、吉田

 

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ベスト4。

『現代最強』deltaと『若手最強』マッキーが残ることは誰しもが期待し、予想されていた事象でしたが残る2人はSEASON2からプロになったレイン、ヨダソウマの並び。

 

レインはおいうリーグの初期から有望な若手として名を挙げられることが多い超逸材です。マッキー、meta、ともくんと並び若手プロ四強と呼んで差し支えないでしょう。

彼らより一足先に受験期を迎えたためSEASON1では空白期間を設けていましたが、復帰早々上野BPTにもよく足を運んでおり、その頃から「最もプロに近いプレイヤー」と称されていました。実際にぷよぷよカップ参加わずか2回目にしてプロ入りを果たしており、生粋の実力派と言えます。

 

対するヨダソウマは、fronやTSなどと同世代のプレイヤーです。飛車ぷよでの優勝など、プロ入り以降実績をあげつつあります。また、私が以前特集記事を書いたこともあります。

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本名は吉田。飄々とした性格の中に熱いぷよぷよ愛を秘めており、ゲームの仕様やシステム、キャラクター、戦術や戦略についての把握はもちろん、各プレイヤーに対する研究・理解力は群を抜いています。そんな本人の試合前の言がこちら。

 

「わかる人にはわかると思うんですけど、自分がこの面子の中に残っていることは異様なんですよ。ここまで来たら優勝して異様な大会にしたいと思う。」

 

地力、という観点においては並び立つ面々に一歩遅れを取っている自覚のあるヨダソウマ。相手に合わせ自分の戦略を変えるというフレキシブルな戦い方を好みますが、その分自身の特化した能力には幾分か自信がない、ということなのでしょうか。しかし一見控えめでありながらも、この中で誰よりも不敵な発言ともとれる。場にはそんな異様さのみを残して、つつがなく大会は進行していきます。

 

 

新型巨人と驟雨の暗殺者 delta vs レイン

 

「プロの中でもトップオブトップ。」Tomはかく語りました。

この試合は我々プロ選手もステージ裏で観戦していたのですが、まさしく内容はその言葉に偽りないものだったでしょう。驚嘆や賞賛の声がたびたび上がりました。

 

 

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GTRを主体とすることをやめた、というdelta。巨人の火力を持ちながらも、勝つためへの変化を厭わない。独自の手順からの不規則土台を巧みに操り、『新型巨人』の落成式と言わんばかりの試合展開でここまで勝ち進みました。

対してレインはその巨人へのウィークポイントを徹底して突きます。細かい攻撃を絶やさず送り、火力という武器を安易に使わせないように立ち回ります。

 

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間断なく、矢継ぎ早に。それは雨のように。 レインの構える刃は、巨人の喉元に何度も何度も突き付けられます。そんな状況下でも応手を見つけて適量対応を絶やさないdelta。彼の力と技のハイブリッドこそが、巨躯に対するエネルギーであることを私たちは何度も見てきました。

 

しかし、その鉄壁の巨人に突き立てられる一筋の矢がそこにはありました。

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割り込み。 

自分の連鎖がまだ続いていようと、関係なく相手へと降り注ぐお邪魔ぷよ。

 

自身の先の攻撃を相殺されきる前に、大きな二の矢を放つことで先の攻撃を差し込むことができるという高等テクニックです。この大舞台で自身の攻撃量と相手の対応量の把握、何よりも圧倒的な判断速度を要する中、平然とやってのけたのがレインでした。

一歩間違えれば自分の首を絞めかねない大きな連携追い打ち。緊張の中でありながら冷徹に勝機を伺い、驟雨に潜んだ暗殺者がそこにいたのです。「ぷよぷよ降れ降れもっと降れ」と、願うだけではなく自らの手腕で叶える男が。

 

 

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決勝進出への決め手となったこの試合も、『新型巨人』の手順の隙を突いた急襲の2連鎖トリプルによるものでした。十全の警戒をしながらも大胆に差し込みにいくアサシンレイン。

どんな状況下においても惑わない平静さは、彼がこれまで生きてきた世界に血の雨が降っていたことを伺わせます。今回は 巨人討伐クエストを無事こなし、その実力を誇示する結果となりました。

 

 

 

吉田ワールドへの招待状  ヨダソウマ vs マッキー

 

ヨダソウマにとっては鬼門と言えるこの試合。ただし本人は、マッキーの試合内容やコンディションを見て、十分に付け入る隙はあるだろうと確信していたことでしょう。

私も導き出していた傾向である「今日のマッキーは大会特有の堅さがある」という情報は、戦上手な彼が独自の読みに含めないはずがありません。

 

 

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その証左が、一戦目における早い2連鎖ダブルからの伸ばしによる勝利です。マッキー側の本線の確定が早い傾向にあることを事前に予期しており、アグロ仕掛けで本線発火を誘うことができると読んでの行動。試合が始まる前から、戦いは始まっているのです。

ヨダソウマらしい人読みと、迷わない後伸ばし力をふんだんに駆使した一本と言えるでしょう。取れる試合を労せずして取るのが、吉田家家訓なのか。

 

 

 

 

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しかしマッキーも同じく相手の傾向を読みに入れて動くタイプのプレイヤー。ヨダソウマも2本目以降同じ攻撃が通用するとは当然思っているはずもなく、中終盤へのバトルフィールドの移行を余儀なくされます。

3本目は非常に慎重に推移していた試合でしたが、マッキー側が1連鎖ダブルで1段差し込んだ瞬間、最短での詰め筋2連鎖ダブル3連鎖を発火。実戦中に詰めぷよぷよを解く速度において、彼の右に出るものはいないでしょう。まさしくぷよぷよ界の藤井聡太。

 

誰もがマッキーの決勝進出濃厚かと思い始めたその時、すでに吉田ワールドの扉は開かれていたのです。

 

 

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光る吉田の豪胆さ。

残り1本まで追い詰められながら、「いざとなれば本線に頼ってくる」情報と読みを信頼し、中盤で後手に回ることを選択。リソース差を活かし中盤戦で圧倒してくる戦い方も強烈に脳裏をよぎり、どちらの戦い方も警戒しなければならないマッキーに対し、悠々と相手の行動を待ち本線を先打ちさせることに成功します。

当然のように得意の後伸ばしを成功させ、逆にマッキーを追い詰める側へと転じるヨダソウマ。

 

 

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ええーー!?!!??!!??!!

 

 

 

え???? 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヨダソウマはベスト4のメンバーの中で、誰よりも『人間らしさ』がありました。

 

 

かつておいうリーグ30先の最後の1本で自害してしまったり、

ぷよテトA級リーグでTomに30-5で撲滅されたり、

ぷよクロの使用キャラクターを自分のイラスト付きで調べたり。

 

puyo-camp.jp

 

 

人外魔境のはびこるぷよぷよチャンピオンシップにおいて、彼の『異様さ』とはその『人間らしさ』に他ならなかったのです。

 

 

人が人ならざる者達に挑む姿!

人はそれを『主人公』と呼んだ! !

だからこそ私達は彼を応援したくなる!!!

 

 

まだ一本ある!立ち上がれ!!吉田!!!! 

 

 

 

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マッキーに赤で発火されてしまうと9割方不利!そんな状況下に追い込まれたとしても!

 

勝利を信じる心こそが!!

 

奇跡を起こせるのが!!

 

 

 

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人間なのだと!!! 

 

 

 

 

 

それぞれの思いを背負って… レイン vs ヨダソウマ

どちらが勝っても初優勝な戦いとなった決勝。

 

果たして200万を手にするのは、満を持してSEASON2の彗星として現れたヒットマンことレインなのか。その持ち前の人間らしさでMCを、会場を掌握し味方につけてしまったヨダソウマこと吉田なのか。その戦いの行方は神のみぞ知る。

 

 

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2人の駆け引きは刹那の領域に到達。「引ける」「引かせない」を互いに押し付けあう力勝負の展開に、一歩先んじたのはヨダソウマ。一見引けなさそうな緑を引き切り、レインの猛襲を掻い潜ってての本線発火に成功。

 

 

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決して本線を打たれても不利ではなかったはずのレインも、この運命力の強さに幾分か動揺してしまったのか。繋ぐために必要な赤を置き忘れてしまい、ヨダソウマの本選を返しきることができず。1セット目を明け渡してしまいます。

このとき彼の脳内には200万円がちらついていたのか。それともぷよぷよアサシンとして生きざるを得なかった幼少の頃の苦い思い出か。それは本人のみぞ知る、といったところでしょう。少なくとも、彼の心の陰にしとしとと雨が降りはじめていたからこそ、肝心な場面で気が逸れてしまったのかもしれません。

 

 

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しかし、2セット目のレインの眼差しは仕事人のそれに戻っていました。相手が吉田であろうと関係ない。ただただ任務を遂行し、2連鎖トリプルを首筋に撃ち込む。それだけの話だと。今までだって、そうやって生きてきたじゃないか。

 

その放たれる殺気に、ヨダソウマは今まで感じたことのない恐怖を覚えました。今までの彼にはあまり見られなかった『迷い』が生じ、2セット目を落としてしまいます。

(ここに立っていることは果たして自分に相応しいのか?)

(今日の自分は先輩方に失礼なことをしていなかったか?)

(この後JeSUブースだけど弁当っていつ食べればいいんだ?)

自問自答が繰り広げられそうな気持ちを強く抑えて、ひたすら盤面に集中する。

 

それでも、このプロシーンの最先端で争っているのはコンマ数秒の世界。わずかな迷いをもが、勝敗を決するファクターと成り得るのです。

 

 

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3セット目。先に思念を振り切り、気づきを得たのは吉田でした。

2連鎖トリプルを打たれるならば。

2連鎖クアドラプルを打ち込めばいい。

 

ここまでがむしゃらに戦ってきたヨダソウマにとって、全ての道のりは平坦ではなかった。事前に備えた情報を武器に実戦で一つ一つ答えを探してきたからこそ、ここまで辿り着くことができた。だから一歩先んじて、レインを破壊する策を考え付いた。

 

フルスロットルな吉田の頭脳は、自らの世界を作り上げます。

 

「異様な大会にしたい」

 

知らず知らず、異様なまでに募ったその思いは、急速に具現化へと近づいていくーー!

TOKYO YOSHIDA SHOWの開演へと!!

 

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(まさか自分よりも大きな仕掛けを、この大舞台で敢行できるのか…?)

吉田の気迫に気圧されたレインは、構える形が幾分か硬くなってしまいました。しかしそんな中でも吉田の3連鎖の仕掛けに2連鎖ダブル3連鎖で応ずるなど、培っていた経験は彼を最善手へと導いていました。アサシンとしての本能のみが彼を突き動かしていたのです。

 

これが達人の、辿り着く境地。

 

 

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ですが、吉田は自身が不利とみるとすかさず小カウンターを形成。2連鎖を整地しながらレインに返していきます。彼らの間には、言葉を発さぬ会話が確かに存在していました。200万という金額の多寡は、既に彼らにとって些細な出来事に過ぎなかった。それぞれの生き様そのものをぶつける瞬間が、今ここだったのです。

 

そして吉田は、レインの4列目の致命傷を見逃しませんでした。寸断された連鎖を瞬時に理解し、本線を大幅に崩しての追い打ちにシフトします。

 

 

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椿彩菜の嬌声は、吉田の一番長い日が、終わりを告げる音でした。

 

 

 

吉田の願い

 

一か月ほど前、Rush Baseに行ったときのこと。

私とdeltaは、ヨダソウマの秘められた思いの片鱗を、初めて耳にしていました。

 

「例えばぷよぷよ界がもっと盛り上がったり、さらに先の戦略や戦術に辿り着いたりすることができるのなら、仮にその対象が僕じゃなくても構わない」

 

当然、自分のやりたいことをやる、というのがベースであることに揺らぎはないにも関わらず、彼の根底には自己顕示欲があまり見られないのです。

年不相応な達観というべきなのか、客観性というべきなのかはよくわかりませんが、個人的には(なんだかやっぱりこいつはすごいな)という感触を受けて。彼は「プロになりたい!」「誰かに勝ちたい!」みたいな自己実現欲求に支配されているのが当然ともいえる年代でありながら、まったく別の景色を見ている。

だから、人の観察をよくすることができるし、広義的にモノを捉えることもできて、独特な世界観を持った吉田ワールドを展開できるのだな、と私は謎の感銘を受けました。

 

代わりのいない人材の一人と言えるでしょう。

 

 

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誰よりも人間らしく、誰よりも人間離れした男。

吉田をこれからもよろしくお願いいたします。

 

 

 

ではまた。

 

 

 

吉田の、吉田による、吉田のための大会。~覇王side story【TGS2019 ぷよぷよチャンピオンシップ特別大会レポート 前編】

りべです。

 

昨年の準優勝から早一年。

今年は優勝賞金が2倍の200万円になって帰ってきた、TGSぷよぷよチャンピオンシップ。

 

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SEASON2に入って以来、実力主義化が加速しているぷよぷよのプロシーン。

今回も、チャンピオンシップの本選に出られるプレイヤーは34名中16名。

それに台湾と韓国の代表を加えた、計18名で戦いの火蓋は切って落とされました。

 

 

書いているとやたら長くなってしまったので今回は前編となります。吉田ことヨダソウマはまだ出てきません。悪しからず。

 

目次

 

 

 

現地観戦の数がすごい

 

TGSでの大会設営ブースが、今回は昨年に比べて最奥ではなく入口寄りになっていました。そのせいか、通路から人目に付きやすく足を止める人が多かった印象です。

私自身Stunfestの観客数で慣れてしまった部分もあるのですが、それでもなお盛り上がっているなと感じさせる熱気を帯びていました。

 

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何より、私たちが活動している中で見かけたことのある方がかなりの数来ているように見受けられました。これまでの1年間の活動は無駄ではなかったし、着実にコアなファン層は増加を続けている、という証明なのでしょう。

初年度の物珍しさから継続フェーズに移行したぷよぷよのeスポーツシーン。心配性なコミュニティの方々から、先行きの不明瞭さにネガティブな話題が飛び交うこともありますが、現場で動いている僕たちからすると明らかに新しい観戦層やプレイヤー層に向けての開拓が進んでいるなと実感できます。

 

 

 

大会中最熱狂試合? live vs ともくん

 

さて、そんな多くの観衆に見守られながら進行していったTGSチャンピオンシップ。もはやどの対戦カードも激熱だったのですが、今回はひとます私の足跡を辿ってみたいと思います。

 

 

ぱっとTwitterを眺めたところ、非常に観戦者達の評価の高かった私の第一試合。

両者とも地力頼りの局面になることが多く、中盤戦、打ち合い、セカンドなどでスーパープレイが頻発したせいでしょう。スタイルは違えど、技術力から名を馳せていったルーツは両者同じです。

 

 

 

 

ちなみにこれなのですが、最近ともくんが僕に対して苦手意識を持っている様子が伺えるためです。単純なプレイスタイル傾向として、得意戦法がアグロ主体ミッドレンジ寄りのともくんは、ミッドレンジ主体コントロール寄りの僕に対して、自分の流れに沿った手捌きをしているだけだと相手に有効打を打ち込むのが難しくなります。いわゆる「飛び込み」になりがちです。

 

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最近WPLや飛車ぷよなど、様々な大会で当たることの多いこの3名ですが、それぞれの得意戦術を使った時の相性差がこのようになります。これは当然当人たちもぼんやりと理解しているので、自分の土俵以外で戦ったり、あるいは裏をかいてメタるなどの心理戦要素が生まれてくるわけです。短期戦ではそれがより顕著になります。

書いていて気づいたんですが、ぷよぷよにおけるアグロ、ミッドレンジ、コントロールの概念をちゃんと説明した記事がないですね。以前WPFで観戦講座をやったんですけれども、そのときのスライドをもとに簡単に説明すると、

 

 

序盤から中盤にかけて積極的に攻めるのがアグロ(ともくん)

中盤から終盤にかけてアクションを起こすのがミッドレンジ(live)

終盤まで受けたり後手に回ったりするのがコントロール(SAKI)

 

という感じです。

 

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まさにアグロオブアグロって感じの動き方ですね。この図だと1Pサイドに隙があるのでかなり強い攻撃になっています。ただゲームスピードが全体的に早いぷよスポでは1手で仕留められるケースは結構少ないです。しかしそれを高い地力と乱戦力で連携へと転化し、強力な武器としているのがともくん。

 

 

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ですが、その戦い方は常にスピードと高精度な判断力が求められます。この図はアグロというよりもフェイスの動き方と言えますが、このように5連鎖を構えているところに迂闊な2連鎖トリプルなどを打ってしまうと、ほぼ敗着となってしまいます。

 

 

もちろん本人もわかっています。ですが体に染みついた戦い方はなかなか離れるものではなく、極限状態でのプレイスタイル変更がいかに難しいかということがよくわかる一戦でしょう。

先述したSAKIも、今大会では相手の読みをずらすためかアグロやミッドレンジ寄りの動きが目立ちました。その結果ヨダソウマに破壊されてしまい、吉田ロードの礎の一つとなってしまったのです。

 

 

恒例行事の名試合メーカー!  live vs マッキー

 

プロシーンで当たるのはもはや7回目くらいのこのカード。最近ちょっと勝ち越されつつあります。若手最強との名声はかなり浸透してきており、実績もすでに申し分のない超強敵なマッキーですが、短期決戦時の戦い方は硬いことも多く十分に付け入る隙はあります。

 

試合内容とは全く関係ないですが、マッキーくん、私に当たるたびに試合前にどんどん饒舌になってきてます。最初の頃は緊張もあるだろうし私が気を遣ってたわいもない話をしてたくらいなんですが、この間なんかもう私が黙ってても一生うれしそ~~に喋りかけてくる。むしろ他プロの試合内容について話すことで若干今日の私のプレイスタイルの探りを入れてきてないか?って思うくらい。どこまで成長するんだこの男は。

やっぱり根は関西人なんやなって。てか寡黙な最強戦士は一体どこ行ったんだよ?

 

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さて、そんなマッキーですが、大会では安定を取り本線を確定させる行動が目立ちます。ここはすでにリサーチ済みです。さらに安全運転のため普段と手順が変化し、火力が全体的に低下する傾向にあります。

なのでスタンダードにコントロールの立ち回りをしていけば有利が取れるのですが、そんなに簡単ではないのが壇上の世界。私もやはり終盤での安定ルートや保険を残しておくため、幾分か火力は落ちてしまいます。一体どちらが打ち合いに成功するか。

 

 

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選手に対する分析力もこの上なく高いマッキーは、私のベーススタイルがミッドレンジ寄りであることも当然知っています。私の催促と本線が分離した瞬間を狙って、緑紫での騙し本線発火。私は右上の4連鎖を消化しないことには本線構築すら怪しいので、泣く泣く後打ちでの整地を行います。こういう戦い方においても彼はやはり一級品です。

 

 

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2P、ほぼ理想的なコントロール手順からの、完璧な5連鎖ダブル対応。会心の手に勝利を確信しますが、ワンチャンスを拾いに行くマッキーの5連鎖トリプルがヒットし圧倒的優勢から負けてしまいます。どんな状況からでも最善手を探し出すマッキーの勝負強さと、私の詰めの甘さが噛み合ってしまった悔いの残る一戦でしょう。

 

 

 

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最終試合。2連鎖にて12連鎖を先打ちさせられてしまいますが、マッキーサイドも火力に自信がなさそうな様子かつ発火に時間をかなりかけてしまったため、私側はセカンド有利と判断しました。

ただ、マッキーの本線は私の連鎖より短い11連鎖で、なおかつ難しい緑ゾロや黄ゾロの判断を短時間で迫られます。

 

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必要な緑が全く見えてこなかったため、私は青発火に切り替えてでも高さを確保する方向にシフトします。連鎖を組むことに必死で、相手の量は全く計算できていませんし、少量であれば受けてから戦えるとの判断です。答えは一体何段か。

 

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5段。かなり致命的な量です。ここで大事なのはお邪魔を食らう量が多かったから負けたということや、あまりにも複雑な点数計算ができなかったことではなく、最後の悪手4縦です。

発火色である青が引けないことは受ける0.2秒前くらいにはわかりきっていたので、スピードを重視した4縦ではなく受けて戦うことを前提とした6縦へと必ず逃がし、受けた後の形を最適化するのが良筋でした。まだ残り数%の勝ち筋が残っていた状況を、自ら0%に落としてしまったのです。こういった細かい部分を詰めていく作業が、今後のプロシーンの要になっていくのでしょう。

 

 

 

 

ここまで書くのにめちゃくちゃ時間かかってます。最近ちゃんとした解析記事を書いていないので筆が遅い。

ぷよぷよが降ることを望んでいるレインという男はいったい何者なのか。吉田ことヨダソウマが如何にして優勝したのか。果たして先輩の後に弁当を食べることはできたのか。後編ではその秘密に迫っていきましょう。

 

 

ではまた。

 

 

 

平日対戦会祝50人越え!上野BPTは今後どう展開していくのか?

りべです。

 

 

上野Buzz esportsで行っている火曜定例対戦会、通称上野BPTも昨日で第24回を迎えました。回数にあんまり意味はないですが、大体4ヵ月くらい回した感じですね。

特別イベントでもなんでもない対戦会で、昨日は初の来場者50人越えを記録しました。皆さんいつもありがとうございます。

 

常連の方たちが拡散や宣伝に協力的なのもあり、ハッシュタグ「#上野BPT」が有用な検索ツールとなっております。新しく対戦会に興味を持っている方は、とりあえずタグを入れて呟いておけば少なくとも僕は確認します。

 

 

 

こんな感じ。一言あると僕も(ああこの方来るの初なんだ喋ってみよ)とか思ったり思わなかったりするので呟き得です。

 

 

 

所感や内容をまとめてくれる方の口コミによって上野BPTは成り立っております。控えめに言って神。

 

 

昨日は女性多かったねー。女子会対戦集団に急に巻き込まれて大人げなく無双してました。毎週来てください。

 

 

僕をハッシュタグにして検索する人がいるのかどうかは謎ですが、上野BPTのハッシュタグは検索ツールとして機能しています。つまり広告を出す価値が幾分かはあるということです。

先日は僕が国体埼玉予選で優勝した時にいただいた副賞、岡畑農園さんの『幻の梅』を上野BPT内でお裾分けしたんですが、渡した参加者がこうやって呟いてくれるのでなかなか広がりが良いです。企業さんはとりあえず僕に何らかのアイテムを1年分渡しておけば、勝手に分け与えて口コミが広がるのでお得。なので何かください。

 

そういえばdeltaってチョコビッツ1年分もらってなかったっけ?

 

 

上野BPTの本来のコンセプトってなんなのよ?

一応上野BPTの案内ページには起案時のままの挨拶文を掲示してあるのですが、僕がどういう意図で上野BPTの主催をやっているのかもう少し掘り下げてみたいと思います。

 

1.原体験としての機能

僕が一番重視してるのはこれです。

オフラインで同じ趣味の人間同士が会って対戦する、っていうのは当人たちにとって結構なカルチャーショックを与えるもので、オンライン対戦環境が充実した現在であっても足を運びたくなるような不思議な魅力を備えています。友達とゲームするのは楽しいんだ。

 

上野BPTが大会ではなく対戦会なのは、とにかく参加の敷居が低いから。絶対にエントリーをして、何時までに会場に来て、決まった人間と対戦をする……みたいな細かいことすら、我々ゲーマーという人種は結構めんどくさがるんです。彼らに広くきっかけを与えるためには、原則自由でなければならない。

いつ来ても、いつ帰ってもいい。飯も自由に食いに行け。好きなゲームを自分でやれ。という徹頭徹尾なフリーダムさは、個々の考える力を養います。コミュニケーション能力を培います。日常の些細なことが、どうすれば面白いか。そのためにはどうするか。の繰り返しです。

 

そういった環境で育った人間たちこそがコミュニティの原石なんですね。ゲームタイトルに思い入れを持ったり、企画を立ち上げるようになったりする。

 

 

成果ってわけじゃないですけど、僕の理想とするものを一番鋭敏に感じてくれてるのはおそらくおもちさんなんだろうなと。

 

結局それぞれが、「まあまあ面白かったしたまには行くかw」とか、「めっちゃ参加してよかった!毎週通うわ!」とか、「やべえもうぷよぷよに人生捧げるわ」みたいに、濃度は個人差あれどなんらかの経験を得てくれればそれでいいと思うんですよね。

 

2.対戦環境としての機能

僕が二番目に重視してるのはこれです。

ぷよぷよeスポーツは他のeスポーツタイトルに比べて練習用オフライン対戦環境が圧倒的に少ないタイトルだと思っています。なのに環境構築を誰も先立ってやろうとしない。

 

selvaとdeltaが「オフラインで練習できる環境ほしいよね~」って言ってたのに合わせて、(え、それPS4買えばできるじゃん?)って思って突発的に始めたのが上野BPTの興りです。なので最初はガチめのプレイヤーが練習できるテイストを濃いめにしていたと。

ただ上野BPT自体が徐々に好評を博してきたおかげで、実力のレベル帯も幅広い交流会のテイストが強くなってきました。なので今では火曜の定例会自体での練習は二の次になりがちです。最近だともう僕もdeltaも対戦より仕事をしていることが多い。コワーキングスペースバズイー。

 

そのおかげで、ガチりたい人間たちの練習会みたいな場をどう提供しようかな~ってのはまだ悩みの種です。というかぷよぷよにおいて『オフに足を運んででも上達のために練習したい層』がどれくらいいるかがまず問題。

 

 

なので、縁故ある””強い””ゲーミングチームにお邪魔して練習できたりします?みたいな交渉とかを時折やったりはしてます。RushBase行ったときも交流会のほうが有意義ではありましたが。

やっぱりぷよぷよ部門を持つ有力ゲーミングチームが現れて、選手を数人抱えたりしないことには始まらないのかな~。でもチームが目指す舞台が全然ねえ。賞金1000万くらいは出る舞台がないとな~。

 

 

3.催事場としての機能

上野BPTというIPがほんのり力を持ち始めているので、名前を使って何かイベントとかはできるかもね~とは考えてます。ただ先述したように、ゲーマーは縛られることを極端に嫌います。

 

 

『ゲームの「自由さ」が好きだった』と、歌広場さんは仰っています。そうです。ゲーマーってそういうもんなんです。好きな時に好きなゲームをやりたいし、飽きたらすぐやめたい。どうしようもないくらいワガママなんです。

だから自由にやってた火曜日に突然「イベントをやります!参加してください!」になるのは、参加者側からムムッとなりそうだし、ちょっと意味合いも違ってくると思うんですね。

 

だからやるなら別日に立てるほうがいいのかな~。何をやるとも決まってないですけど。エンタメ性強めの大会のほうがいいかな、とかdeltaと相談はしてます。

 

 

結論

こういう思想のもとに成り立っているので、上野BPT自体が対戦会である体は基本崩さないだろうなと思ってます。

 

おそらくは今後も、ぷよぷよコミュニティの入り口としての役割を果たし続けるのでしょう。だからコミュニティ内部の人間はもちろん、eスポーツ参画企業の方々や、スポンサーを検討している企業の方々、別タイトルで興味があるよ~程度の方でも大歓迎ですし、大体主催のどちらかがいるのでご相談にも応じられます。(アポが必要な場合は事前にこっそり一報くださると幸いです。)

 

ゲームを楽しみたい方も、お仕事になりそうな話も、等しくお待ちしております。

 

 

ではまた。