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吉田の、吉田による、吉田のための大会。~覇王side story【TGS2019 ぷよぷよチャンピオンシップ特別大会レポート 前編】

りべです。

 

昨年の準優勝から早一年。

今年は優勝賞金が2倍の200万円になって帰ってきた、TGSぷよぷよチャンピオンシップ。

 

youtu.be

 

SEASON2に入って以来、実力主義化が加速しているぷよぷよのプロシーン。

今回も、チャンピオンシップの本選に出られるプレイヤーは34名中16名。

それに台湾と韓国の代表を加えた、計18名で戦いの火蓋は切って落とされました。

 

 

書いているとやたら長くなってしまったので今回は前編となります。吉田ことヨダソウマはまだ出てきません。悪しからず。

 

目次

 

 

 

現地観戦の数がすごい

 

TGSでの大会設営ブースが、今回は昨年に比べて最奥ではなく入口寄りになっていました。そのせいか、通路から人目に付きやすく足を止める人が多かった印象です。

私自身Stunfestの観客数で慣れてしまった部分もあるのですが、それでもなお盛り上がっているなと感じさせる熱気を帯びていました。

 

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何より、私たちが活動している中で見かけたことのある方がかなりの数来ているように見受けられました。これまでの1年間の活動は無駄ではなかったし、着実にコアなファン層は増加を続けている、という証明なのでしょう。

初年度の物珍しさから継続フェーズに移行したぷよぷよのeスポーツシーン。心配性なコミュニティの方々から、先行きの不明瞭さにネガティブな話題が飛び交うこともありますが、現場で動いている僕たちからすると明らかに新しい観戦層やプレイヤー層に向けての開拓が進んでいるなと実感できます。

 

 

 

大会中最熱狂試合? live vs ともくん

 

さて、そんな多くの観衆に見守られながら進行していったTGSチャンピオンシップ。もはやどの対戦カードも激熱だったのですが、今回はひとます私の足跡を辿ってみたいと思います。

 

 

ぱっとTwitterを眺めたところ、非常に観戦者達の評価の高かった私の第一試合。

両者とも地力頼りの局面になることが多く、中盤戦、打ち合い、セカンドなどでスーパープレイが頻発したせいでしょう。スタイルは違えど、技術力から名を馳せていったルーツは両者同じです。

 

 

 

 

ちなみにこれなのですが、最近ともくんが僕に対して苦手意識を持っている様子が伺えるためです。単純なプレイスタイル傾向として、得意戦法がアグロ主体ミッドレンジ寄りのともくんは、ミッドレンジ主体コントロール寄りの僕に対して、自分の流れに沿った手捌きをしているだけだと相手に有効打を打ち込むのが難しくなります。いわゆる「飛び込み」になりがちです。

 

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最近WPLや飛車ぷよなど、様々な大会で当たることの多いこの3名ですが、それぞれの得意戦術を使った時の相性差がこのようになります。これは当然当人たちもぼんやりと理解しているので、自分の土俵以外で戦ったり、あるいは裏をかいてメタるなどの心理戦要素が生まれてくるわけです。短期戦ではそれがより顕著になります。

書いていて気づいたんですが、ぷよぷよにおけるアグロ、ミッドレンジ、コントロールの概念をちゃんと説明した記事がないですね。以前WPFで観戦講座をやったんですけれども、そのときのスライドをもとに簡単に説明すると、

 

 

序盤から中盤にかけて積極的に攻めるのがアグロ(ともくん)

中盤から終盤にかけてアクションを起こすのがミッドレンジ(live)

終盤まで受けたり後手に回ったりするのがコントロール(SAKI)

 

という感じです。

 

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まさにアグロオブアグロって感じの動き方ですね。この図だと1Pサイドに隙があるのでかなり強い攻撃になっています。ただゲームスピードが全体的に早いぷよスポでは1手で仕留められるケースは結構少ないです。しかしそれを高い地力と乱戦力で連携へと転化し、強力な武器としているのがともくん。

 

 

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ですが、その戦い方は常にスピードと高精度な判断力が求められます。この図はアグロというよりもフェイスの動き方と言えますが、このように5連鎖を構えているところに迂闊な2連鎖トリプルなどを打ってしまうと、ほぼ敗着となってしまいます。

 

 

もちろん本人もわかっています。ですが体に染みついた戦い方はなかなか離れるものではなく、極限状態でのプレイスタイル変更がいかに難しいかということがよくわかる一戦でしょう。

先述したSAKIも、今大会では相手の読みをずらすためかアグロやミッドレンジ寄りの動きが目立ちました。その結果ヨダソウマに破壊されてしまい、吉田ロードの礎の一つとなってしまったのです。

 

 

恒例行事の名試合メーカー!  live vs マッキー

 

プロシーンで当たるのはもはや7回目くらいのこのカード。最近ちょっと勝ち越されつつあります。若手最強との名声はかなり浸透してきており、実績もすでに申し分のない超強敵なマッキーですが、短期決戦時の戦い方は硬いことも多く十分に付け入る隙はあります。

 

試合内容とは全く関係ないですが、マッキーくん、私に当たるたびに試合前にどんどん饒舌になってきてます。最初の頃は緊張もあるだろうし私が気を遣ってたわいもない話をしてたくらいなんですが、この間なんかもう私が黙ってても一生うれしそ~~に喋りかけてくる。むしろ他プロの試合内容について話すことで若干今日の私のプレイスタイルの探りを入れてきてないか?って思うくらい。どこまで成長するんだこの男は。

やっぱり根は関西人なんやなって。てか寡黙な最強戦士は一体どこ行ったんだよ?

 

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さて、そんなマッキーですが、大会では安定を取り本線を確定させる行動が目立ちます。ここはすでにリサーチ済みです。さらに安全運転のため普段と手順が変化し、火力が全体的に低下する傾向にあります。

なのでスタンダードにコントロールの立ち回りをしていけば有利が取れるのですが、そんなに簡単ではないのが壇上の世界。私もやはり終盤での安定ルートや保険を残しておくため、幾分か火力は落ちてしまいます。一体どちらが打ち合いに成功するか。

 

 

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選手に対する分析力もこの上なく高いマッキーは、私のベーススタイルがミッドレンジ寄りであることも当然知っています。私の催促と本線が分離した瞬間を狙って、緑紫での騙し本線発火。私は右上の4連鎖を消化しないことには本線構築すら怪しいので、泣く泣く後打ちでの整地を行います。こういう戦い方においても彼はやはり一級品です。

 

 

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2P、ほぼ理想的なコントロール手順からの、完璧な5連鎖ダブル対応。会心の手に勝利を確信しますが、ワンチャンスを拾いに行くマッキーの5連鎖トリプルがヒットし圧倒的優勢から負けてしまいます。どんな状況からでも最善手を探し出すマッキーの勝負強さと、私の詰めの甘さが噛み合ってしまった悔いの残る一戦でしょう。

 

 

 

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最終試合。2連鎖にて12連鎖を先打ちさせられてしまいますが、マッキーサイドも火力に自信がなさそうな様子かつ発火に時間をかなりかけてしまったため、私側はセカンド有利と判断しました。

ただ、マッキーの本線は私の連鎖より短い11連鎖で、なおかつ難しい緑ゾロや黄ゾロの判断を短時間で迫られます。

 

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必要な緑が全く見えてこなかったため、私は青発火に切り替えてでも高さを確保する方向にシフトします。連鎖を組むことに必死で、相手の量は全く計算できていませんし、少量であれば受けてから戦えるとの判断です。答えは一体何段か。

 

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5段。かなり致命的な量です。ここで大事なのはお邪魔を食らう量が多かったから負けたということや、あまりにも複雑な点数計算ができなかったことではなく、最後の悪手4縦です。

発火色である青が引けないことは受ける0.2秒前くらいにはわかりきっていたので、スピードを重視した4縦ではなく受けて戦うことを前提とした6縦へと必ず逃がし、受けた後の形を最適化するのが良筋でした。まだ残り数%の勝ち筋が残っていた状況を、自ら0%に落としてしまったのです。こういった細かい部分を詰めていく作業が、今後のプロシーンの要になっていくのでしょう。

 

 

 

 

ここまで書くのにめちゃくちゃ時間かかってます。最近ちゃんとした解析記事を書いていないので筆が遅い。

ぷよぷよが降ることを望んでいるレインという男はいったい何者なのか。吉田ことヨダソウマが如何にして優勝したのか。果たして先輩の後に弁当を食べることはできたのか。後編ではその秘密に迫っていきましょう。

 

 

ではまた。