僕には、散々引用している記事があります。
1年前のこの記事を皮切りに僕の世界や交流は爆発的な広がりを見せ、本の出版やインタビュー、関係各所への親睦の深化など、選手として恵まれすぎた環境を手に入れることができました。本当に、願ってもない幸運です。
さらば、ラスベガス。
来年はきっと、もっと大きくなって会いにいくよ。
という結文の通り、大きくなって戻ってこれたと言って差し支えないのかなとも思います。
グランドファイナル vsCaOを10-4で圧倒し、AnimEVOぷよぷよ大会2連覇達成しました!
— live/りべ (@livedesu) August 3, 2019
皆様応援ありがとうございました!! pic.twitter.com/RAKUOJQO8L
グランドファイナル 6-1でDDR_Danに勝利し、ぷよぷよテトリススワップ部門も優勝しました!
— live/りべ (@livedesu) August 4, 2019
ダブル2連覇達成です!ありがとうございました!! #EVO2019 pic.twitter.com/RUhntAcowQ
そして、当然のごとく2種目2連覇です。サイドトーナメントとはいえ、なかなかあることではなさそうです。
嬉しいは嬉しいのですが、僕の心はどこか中空を漂っていました。
(この感覚は、すでに知っている感覚だ)と。
もしかすると皆さん、疑問に思っていることかもしれません。
『今回の記事は何故、そこまで詩文テイストではないのか。』
それは、理想論も、エモさも、まるで必要のない現実を目の当たりにしたからです。
本記事は、ぷよぷよを含む国内のeスポーツのシーンが、ただ次のステップへ進むために何が必要なのかを羅列していくものです。
目次
・大会で優勝するだけでは何も変わらない
今回のEVO内でのぷよぷよ大会、スワップ大会は共に前年度より参加者が減っています。
参加しているメンバーも、前年度に見かけたプレイヤーが大半でした。
何が起こっているかというと、国外でも国内と同じようなコアプレイヤー化が進んでおり、新規流入や固着が全く進んでいないのです。これは大会を開催しているコミュニティのやり方が悪いとかではなく、単純にゲームとしての引きや魅力、初心者層へのサポートが足りないことが理由なのかもしれません。
しかし、海外コアプレイヤーたちのぷよぷよは目に見えて上達していました。おそらくは僕が渡米したことが影響を与えたのだと思います。以前Raikonは僕にDMで対戦のコツを聞いてきましたし、DdR_Danもよくレート戦で見かけました。この二人は今後も実力を伸ばしていくことでしょう。
それでも、彼らは元日本の選手であるCaOには敵いませんでした。まだ日本と海外の実力には大きな隔たりがあります。こればかりは1年2年で埋まるものではないので仕方ありません。だからこそ、僕は今回連覇できたこと自体に大きな喜びを感じきれずにいるのです。
栄冠を掴み、そこに広がっていたのはただ知っていた景色であり、今後も続けなければいけない道のり。
ぷよぷよというゲームは歴史あるゲーム。全てのモデルケースは過去に通ってきています。日本国内での明確な全国一位の交代ペースは、7~8年です。
国境を越えたコミュニティ内で、僕は今までの国内の全国一位たちの『寂しさ』の片鱗を知りました。自分に匹敵するもののいない、ただその座を守り続ける辛さ。優勝することが当然と思われていくプレッシャー。なるほど、彼らの思いはこうだったのか、と。
僕が優勝することでは何も変わりません。でも、何かを変えるためにはこれからも優勝し続けなければならない。更なる遠い未来、EVO2025を見据える過酷な旅が始まります。
・変化を臨むための3つの指針
大会で優勝することで何も変わらないと書きましたが、今後国内外のぷよぷよのシーンが変化していったり、選手として大成するための理想のルートは大まかに3つほどあると思っています。
1.EVO優勝というタイトル取得による個人へのフォーカス、サクセスロードの例示
僕が2部門2連覇したことで企業の注目を得て、スポンサードされたり仕事が激増するケースですね。
当然そういう可能性も踏まえた上で動いていますが、こればかりは時の運もあり、僕の選手としての可能性や広告塔としての能力に賭けたい企業様が現れない限りどうにもなりません。自分でコントロールできる要素ではないです。人事を尽くして天命を待つ。
成功の道筋がはっきりすれば、野望を持つ国内選手がEVOにこぞって出場するようになり、シーンの対戦内容は激化し注目度も上がります。
2.爆発的人気を擁した新作の発売によるプレイ人口の激増
人口が多いタイトルは単純に視聴者数が増えます。他企業としても価値を見出しやすくなるわけですし、賞金額もおそらくは上がるでしょう。いいことづくめです。
でも、僕はゲームを作っているわけではないです。門外漢が開発に対してごちゃごちゃいうのは犬が吠えるようなものですし、こちらもコントロール不可能です。出された成果物をプレイして、面白いものは面白いと言いますし、面白くなかったらただ口を噤みます。それがプロフェッショナリズム。
3.コミュニティ発の国内における注目タイトルの養成と、その影響力の増加
国内の選手が国外の大会に価値を見出さず、投機の意味合いで渡航するほどの気概も意志もないというのであれば、国内に強い影響力を持った大会を作るしかありません。
常々僕が国内の選手たちに根本的に勘違いしてほしくないのは、「お金が出るから大会に出場しよう」ではないということです。お金なんか出なくてもゲームを真剣に戦ってきた選手たちやシーンにファンがついて、注目されるようになったからこそお金が回るようになった、というのが本来の因果関係です。
この場合、オーガナイザーや裏方としてのスキルを独自に学ばねばならず、リソースも割く必要があります。当然選手からは少し遠ざかるでしょう。それでも、今一番現実的な方法がこれかな、とは見ています。
僕が国内での複合ゲームタイトル大会(ウェルプレイドフェスティバルなど)を推している理由がこれです。8/25にはぷよぷよeスポーツの10万円争奪杯があるので是非参加してください。これらとは別に、他ゲームタイトルとのコミュニティとも連動して何かしら画策するつもりでいます。
あ、方針はズレますが一応もう一つありました。
ex.別の人気ゲームタイトルの選手への転向
そんな簡単にはいかない話ですし、何より少しドライすぎます。
そもそも僕が別タイトルに転向するのは、僕自身のアイデンティティの喪失に他ならないので、ちょっと分が悪いなとは思います。しかし、あめみやたいようのような秀でたゲームセンスを持つ若者であれば、比較的この方法が現実的ですし、別ジャンルのプロゲーマーではさほど珍しくない話です。
・同情や憐憫を誘うフェーズは終わった
僕の去年の記事は、「頑張っているのに報われない」とか「コミュニティやメーカーの方針不一致でうまくいかない」とか、ネガティブに捉えようと思えば捉えられるものでした。
結局何故そうなったかというと、当時は僕にとって書けるものがあれくらいしかなかったからです。現地に知り合いも多くなく、優勝したけどタイトル格差すごいしどうすりゃいいんだ?みたいな理不尽さを、晴らす意味合いが全くなかったかと言われれば嘘になるのでしょう。
それでもよくわからない怨嗟ポエムを拾ってくださった方々によって、僕自身は力を得ましたし、人の助力も得られるようになりました。そして道も見えてきた状態です。
そして僕の中で今年本当に大きかったのが、同行していたわっちやふーひが、純粋に仕事として縦横無尽にラスベガスを駆けているのを見るのが、本当に凄いと思ったし羨ましかった。彼らと自分を比較すると、ただゲームが上手くて優勝しただけの僕はそれを何の価値にも転じられていないことに気づいて、なんだか恥じ入るような心地になったのです。
なので今年はもう、エモい文章は特に必要ないんですね。僕がやるべきことをやって、皆さんにそれを伝えて、一人でも多く協力してもらえるように努める。それしかないのです。
自分が活躍し、国内のシーンを活性化させ、国外へと伝播させる。もうその構図は揺らぎようがないですし、あとは行動するだけ。
だから皆さん、できることなら僕の活動を手伝ってください。EVOに行ってぷよぷよしてくれたら最高。国内のイベントにもできるだけ出てほしい。スタッフや主催も全然足りていない。ゲームの道で生きる覚悟を決めた人ももっと現れてほしい。外側の分野やゲームタイトルに興味を持つぷよらーもどんどん増えてほしい。本当に何もかもが足りていません。
ここだけは、皆さんの感情に訴えかけないといけない。お願いします。
それではまた。