りべです。
チャレンジャーリーグも終わり、メリークリスマスな時候なので、メリ土台についてのお話を書いていこうかなと思います。
目次
(4002字)
メリ土台とは
・形
これです。
左の横3の座布団2枚の上にキーぷよを乗せ、右に繋げる土台全般がメリ土台と呼ばれる印象です。
・名前の由来
大体これです。
メリットのメリであり、メリークリスマスのメリではありません。
メリ土台の成り立ち
・AC時代
先述の動画の通り、凸凹マスター氏が先駆けとなって研究していた土台です。
このツモに関する考察しながら今を生きてる。 pic.twitter.com/BoYmi6doUx
— 凸凹マスター (@dekobokomaster) 2015年10月2日
当時は新GTRや弥生時代などの採用率も高く、4個消しでの連鎖効率よりも連結の強さに焦点が当たっていた時代でもあります。
(参照 : https://youtu.be/rwW1gogkC6E?si=-GdQzHWLqbJYAUEU)
ACぷよぷよ通では、自然落下速度の速さ、ゲームスピードの遅さ、プレイヤー全体の連鎖技術の未熟さなどから、終盤戦といった領域での試合展開がまだ確立されていませんでした。
それに伴い、本線も飽和火力に比べると発火率や時間効率が重視される時代であり、3列目の連鎖順に関してもかなりラフに捉えられていたように思います。
こういった必ずしも順番に進行しない連鎖を見て、Tom氏も意図や強みを見出せず「メリットのない土台」発言をし、その名前が独り歩きした…というのが始まりだったのかもしれません。
(ちなみに筆者はもうジジイなので、記憶があやふやであり過去の話の信憑性については話半分程度に見ておいてください)
この形(便宜上デコタワー)最強だからみんなよろしく! pic.twitter.com/S0l5fbNlZS
— 凸凹マスター (@dekobokomaster) 2020年12月31日
考案者当人としても、おそらくは速攻保持土台としての側面を評価しており、連鎖効率という面については二の次であったであろうことが直近の発言からも伺えます。
・ぷよスポ時代
それまでは知る人ぞ知るマイナー土台であったメリ土台。
ところが、最強リーグ近辺を皮切りに、ぷよぷよに火力革命の時期が訪れることとなります。
「95000、あまり大きくない…」というALF氏の名フレーズにも顕されるように、飽和本線火力は10万点を超すことが珍しくなくなりました。
必然的に、土台時点で連鎖の頭方面に多連結や同時消しを内包する連鎖は連鎖数が稼ぎづらく、次第に新GTRや弥生時代は敬遠されるようになっていきました。
そして2022年ごろからでしょうか。ついにメリ土台に白羽の矢が立ちます。
(参照 : https://youtu.be/EPXDiAwVSUE?si=U8tnRzHncVQRJkfz)
ぴぽにあ氏を筆頭に、最上位層の対戦でのメリ土台採用率が徐々に上がっていきました。
10万点以上の大飽和時代において、実戦レベルで採用する価値があると各々が判断したわけです。
さらに2023年。メリ土台の研究はプレイヤー間で続きました。
その最中、頭角を現しつつあった現代チャレンジャーの一角、かき氏によって当時密かにこんなことが嘯かれていました。
- ぴぽにあ
- のらすけ
- りべ
彼らがメリ土台三銃士であると……
メリ土台三銃士
・実態
仰々しくは書きましたが、当時の大会の戦績や露出度合いも含めて存在感があり、左折メリ土台使用率が高かった3人が雑談ベースの話の流れで「メリ土台三銃士?強いよねw」と槍玉にあげられた程度のノリです。
とはいえ今考えてみるとこの3人が、メリ土台を積極的に実践投入して研究していたことは間違いなく、各々スタイルも全く違うあたりがメリ土台の汎用性の高さを伺わせています。
私見ですが、3人のメリ土台での戦い方のイメージを並べてみようと思います。
ぴぽにあ'sメリ
・かなり守備的
・飽和打ち逃げ主体
・ちぎり拒否速度重視
・U字鶴亀が好き
U字鶴亀で6列目縦3に接続しがち
右側の自由度の高さで中終盤有利を取る
のらすけ'sメリ
・攻撃と守備にメリハリがある
・速攻保持土台が好き
・中終盤以降は受けを多用
・U字雪崩の付け足しが上手い
雪崩連鎖尾兼第2折もお手の物
のらスぺプロトタイプで潰せ!
りべ'sメリ
・かなり攻撃的
・中盤連携or飽和押し付けのコスパ重視
・多連結同時消しの時間削りを使う
・S字進行が好き
S字で第3折にいったっていい
特大マルチで時間を与えない!
という具合に、各方面でのアプローチで戦える土台でなおかつ飽和火力も十分ということで、ここ2年で一躍GTRの次点ポジションに近い地位を獲得したように思います。
でも、結局何がどう優れているから市民権を得るに至ったのでしょうか?
最多シェアを誇るGTRと比較して見てみましょう。
メリ土台のメリット
1.全消しを逃しにくい
長らく手順考察をしてきたプレイヤーは、メリ土台をほぼAAABスタートのみで組みます。
これは何故かというと、GTRで感触が悪かったり不利になりがちなツモをどう変えるか?がまず考察の念頭に存在するためです。
横3始動にすることで全消し受け入れが広がりやすい
GTR手順だとなんかヤダ
一例 ABAAABAABBは一方的に全消しが取れる
これはメリ土台のメリットというよりは、古の時代より横3始動が先に手順としてあり、時代によって新GTR、弥生時代、後折などに派生していくというのが正しい気がします。
(余談ですが、同様の理由でABACBCスタートもGTR手順だと全消しを逃しやすいため、三銃士はほぼLLRを採用しています)
2.連鎖尾の選択肢が広い
折り返し消化後45列目のL字に接続することにより、連鎖尾の段差ずれが2段-1段-0段のずれとなり、その後456列目どこからでも始動が可能です。
シンプル雪崩
虚分離L字多め鶴亀雪崩
6列目縦3に5列目から飛ばす鶴亀
4列目と5列目の段差を始動にしてもいい
という感じです。大体何でもできます。
3.土台の段数を可変長として扱いやすい
左の折り返し部分を1ブロックとしてみた際、必要な段数を取ってn段土台と呼んでいます。
GTRならば3段土台、メリ土台ならば基本は4段土台ですね。
対応で土台上部を削る際、3段土台(9個)以上に削ってしまうと使いすぎで伸ばしにくいケースが多いというのが昨今の共通認識かと思います。
上図のようにメリ土台の派生にはキーぷよを1つずらす形があり、左の黄色L字を対応に使用することで3段土台としても扱うこともできたりします。
また今後、さらにプレイヤー全体の判断レベルが上がり、時間の猶予を与えられない環境に近づいていくでしょう。
それに伴い、リソースの使いすぎにならないデッドライン、ベースの土台の段数が高くなることが予想されます。
4.左手対応使わされの不利を軽減できる
昨今のGTR多重テンプレートとして、土台上の左で5連、右で2連を組むのがセオリーとして強いとされています。
(便宜上、僕は左手右手と呼ぶことが多いです)
これについてはあん氏の5連+2連の説明がわかりやすいので一読するのがおすすめです。
ただこのセオリー、左手5連に本線即合わせされて伸ばしきれない負け筋が懸念材料としてあります。
GTRだとこの左手5連が
ここまで削れる。摩擦と配色制限が心配
これがメリ土台だとどうなるか?
5連使ってもこう。のばしやすいよねー
こうなると体感でもS字構築の方が組みやすいのがわかると思います。
段差の少ない残しにすることで、さらにGTRセオリーの5連+2連に対抗するために、2連+5連の逆転構築論などにつながっていくのですが、今回のテーマからは少し脱線しそうなので泣く泣く割愛。
メリ土台のデメリット
1.完成が遅い
基本は4段土台として扱うことが多いため、3段土台であるGTRに連鎖の完成速度で劣りがちです。
折り返し上即2ダブを撃たれるだけで厳しい展開も少なくありません。
2.隙のない手順を確立させづらい
そんなアグロ2ダブに対抗するためには、連鎖尾側での対応手を早めに構えるか、折り返し側を変形させて備えるか、折り返しに全てのツモを寄せるかになりがちです。
自由度が高い代わりにシステマチックにしづらく、ケアしなければならないことや考えなければいけないことが序盤から多くなります。
無理やり形を寄せると飽和が犠牲になることも往々にしてあり、そうなってしまうと本末転倒です。
3.難しい
総じて技術力が要求されます。
連鎖尾を崩せる手を保持しながら連鎖を伸ばすという工程を経ないと、広い中盤レンジを持つ相手には隙をなくせないため、形・配色・手順に関する知識全てが必要です。
究極的には瞬間ごとに対応択が消えない進行を要求される
メリ土台の未来
急速に発展するメリ土台の技術。そのスピード感はさながら近未来を想起させます。
また最近ではようかん氏、ころんおー氏といった強豪もメリ土台を多用し、深く研究しています。
しかしながら日夜技術の革新は起きており、メリ土台三銃士ですらもここ2年の間でメリ土台を放棄していた時期が存在します。
ブレイクスルーが起こるたび、今までの常識を見直す柔軟さ。固執しない潔さ。そういったものを持ち合わせていたからこそ、いち早くこの三銃士という概念は生まれたのかもしれません。
形に使われるのではなく、形を使いこなす。それが一流の選手である必須条件なのでしょう。
ホワイトクリスマスにしんしんと降り積もる雪はまるで横3のように。
GTR1強の現環境は、果たして来年こそ変わるのでしょうか。
迫りくる2025年の足音と共に、私も、あなたも。
変わるべきものは変わっていかなければならない。
さあ、メリ土台の未来のために、皆で唱えましょう。
メリーメリ土台。