面白い。
スポーツはe-Sportsよりも団体基盤がしっかりしているとはいえ、10年ないし5年プロを続けられるのはどっちもすごい。
プロになってから得ることとか、メンタリティでも先人の経験則でも、たくさんあるだろうになあ。
でもやっぱり、後々人生をどういう方向へ持っていくべきかあらかじめプランニングしておかないといけない、大変な業界なんでしょうね。
で、一般的なプロスポーツ選手に比べ、プロゲーマーという業種、凄く業務内容があいまいである。
スポンサードゲーマーなのか、バウンティハンターなのか、ストリーマーなのか、即している実態がバラバラ過ぎるし
内実が不明瞭な以上、周囲から見ると「後ろ楯がある」「地に足がついている」というイメージとは程遠いものであろう。
セカンドキャリア以前に、ファーストキャリアにすら不安材料を抱かれている現状だ。
以前、ぷよらー達のTwitterを眺めている中で、すごく悲しくなった発言があった。
『4月のぷよぷよカップでプロゲーマーになって、○○さんには就活して入った会社を2週間で辞めてほしいw』
というような、ちょっとした冗談めいた呟きだ。それをコアゲーマーが発していた。
これは「社会的な安定を捨てて、そんな道を選ぶことは愚かだ」と内心思っているということに他ならない。
競技に最も近いところで生きているはずの人間達が、競技の社会的普遍化の可能性を全く信じていないのだ。
しかも企業が本腰を入れて、大会を開いて賞金も拠出して、新しい道を作ろうと動き始めた最中である。
そう、競技としてのゲームが社会的に発展する可能性を否定しているのは、紛れもない数多くのゲーマー達なのである。
◆「ククク…あなたが欲しいのは…お金じゃなくてこっち…!」
話は変わるが、どうやら最近、シャドウバースのルームマッチで毎日誰かに100万円が当たるらしい。
ぷよぷよチャンピオンシップの優勝賞金と同額である。
こう並べられると、大半の人はシャドウバースを始めるだろう。
努力も全くと言っていいほどいらないし、目先のお金が手に入る確率も高い。
そういったところでCygamesは本当に人心掌握が上手いし、サービス展開も柔軟と言わざるを得ない。
話題性の獲得、プレイ人口増加という面で、こういうお金のかけ方ができるのは単純に称賛に値する動きだと思う。
ただ近日の、「ルムマ募集。自傷します」とかいう呟きばかり見ていると、(一体ゲームってなんなのだろう)という気になってくる。
さて、これが「賞金を得た人」にクローズアップしてみるとどうなるだろう?
「シャドウバースのルームマッチで100万円が当たった人」と、
「ぷよぷよチャンピオンシップで優勝して100万円を獲得した人」。
どちらが凄そうかと言われたら、それはさすがに後者になるだろう。
対価を得るための行程が、「誰でもできること」ではないからである。
我々は、賞金もさることながら、価値ある大会で優勝したという名誉、ひいては肩書きが欲しいのだ。
◆肩書きを得て何をするか
最初の引用記事に戻るが、得た肩書きはその人間を保障する材料になってくれる。
名誉ある肩書きはその人間を表す指標としたとき、学歴や資格に引けを取らないものだと私は考えている。
要するに、自己アピールの基となるし、人の興味を惹くことにもなるし、もしかすると仕事にも繋がるのである。
ここで重要なのは、肩書きは持っているだけでは特に役立たないということだ。
自称でも吹聴でもなんでもいいから、自己アピールをしなければ周囲には伝わらない。
かつてTemaさんがとりとめのない実績を並べたがっていたのもそういう背景を理解させられたからだろう。
私だってそうだ。
公式大会優勝を誇大解釈でも公式全一と称するし、覇王の称号も使えるうちに『覇王の慧眼』というコンテンツに繋げた。
おかげでぷよぷよに関係ない天鳳勢にすら「覇王のりべさんじゃんw」と認知されている。(恥ずかしい)
そうやって自分が「何をしてきた」「何ができる」をポートフォリオとしてしっかり置いておくことは、
仮にプロゲーマーがセカンドキャリアを目指すとしたらかなり有用なんじゃないかな、と思う。
どこかに自分という個の判断材料がなければ、折角あったかもしれないご縁を失いかねないからだ。
お仕事いただけるなら、ライターでもWebデザイナーでもイベントプランナーでもコンサルでも、何でもいいじゃん?
まだ見ぬ何かに出会えるチャンスを残しておかなければならない。
この中で選ぶなら1で、これからの高齢化社会において、お年寄りにゲームを教える先生が良いかなと思います。 #peing #質問箱 https://t.co/uHdsDaC9h5 pic.twitter.com/JXdd09eCX0
— ともくん (@tomokunblue) 2018年1月31日
15歳の少年だってゲーマーとしてのキャリアを考えている時代だ。
2018年4月2日(月)号のデイリースポーツから。
— 梅原大吾 (@daigothebeastJP) 2018年4月2日
「プロゲーマーの肉声を聞くことで、『新しい職業』を確立しつつある業界の未来が輪郭を伴って見えてきた」@Daily_Online pic.twitter.com/H8wdONsqrP
先人プロゲーマー達は、自分たちの先行きもまだ見えない中で
後進のためにプロゲーマーという業種を「職」として確立させるための活動を行ってくれている。
彼らと同じく、将来的なプロゲーマー達が社会的不安のない世界へと少しでも推移していって欲しいと、切に願う。