りべです。
昨日はなかなか面白いツイートがありました。
目次(3451文字)
プロゲーマーになるのは難しい?
あくまで個人的な考えだが
— KishimenEX@10万TA39.51 (@KishimenEX) October 29, 2019
プロになりたいって言っているぷよらーは、その責任の重さを知った上でなっていただきたい
でないと名ばかりのプロだし、りべさんくらいeスポーツに向き合わないと務まらないと思うよ
熱意を全力で注げないならプロにならない方が懸命
俺はそれができないからプロにはならん
僕の活動を買っていただいてるようで非常にありがたいご意見です。
で、ちょっと補足したいなと思って付け足したのがこちら。
https://t.co/5Pk0FtoUHs
— live/りべ (@livedesu) October 29, 2019
ライセンスプロってのはプロゲーマーの裾野を広げて、成長しそうな人を掘り出す側面もあるので気軽にプロになってもいいと思いますよ
僕がeスポーツに関わってるのは自分が楽しいことと実利が一致してるだけですし、
プロの収入で生活する気がないなら生活できないだけです
正直なところ、プロになるのはそんなに難しい心構えじゃなくてもいいよ、という注釈。
(折角お褒めいただいてるのになんで自らの職を貶めるんだ?)と疑問に思う方もいそうなので、ちょっとだけ説明していこうと思います。
想像してみましょう。
「プロゲーマーになるのなんて楽勝だろ!すぐにでもなってやるよ!」という人と
「プロゲーマーになるのは難しいかもなあ…自分には無理そうだ」という人、
大会に参加しそうなのは一体どちらでしょうか?
また、この2つの考え方が一般認識として浸透していった先に、競技人口がより増えていきそうなのはどちらでしょうか?
特にもったいぶる必要もなく前者かと思います。
この意見は両極端なのでどちらが絶対的に正しいとかではなく、前者の方がマシかな?と感じる程度です。
とはいえ、別にいくら「プロゲーマーになるのは楽勝!」と思われててもいいのですが、「だからプロゲーマーは雑魚!」とでも言われようものなら多分しばきます。それはプロとかプロじゃないとかを抜きにして、ただの殴り合いです。
ぷよぷよはそのゲーム性から「極めるのが難しいゲーム」と思われがちなので、それ以外の部分であまり参入の間口を狭めたくないなと思うのです。
JeSUがライセンスを発行するまで稼働している競技シーンはほぼコミュニティ依存に近い状況でしたし、今のプロ達もライセンスをもらったことによって(じゃあ頑張ってみるか)となった人がほとんどだと思います。僕もです。
実際、配信やったり動画作ってみたり、随所へと出演したり解説したり、イベント主催したり界隈の外側に目を向けてみたり、プレイヤー達に色々と変化はありましたよね?
そう、「なんか急にプロになっちまったけど頑張ってみっかぁ!」的な後出しでも、世の中意外といけるのです。心構えは後から改善できます。
以前、「ライセンスは単なる契機の一つに過ぎないよね」って言った言葉もこういうことですね。
プロゲーマーの何が難しい?
ちなみに、自著『1億3000万人のためのeスポーツ入門』の文中においては、95ページにてプロゲーマーをこう定義しています。
蛇足だが、そう考えたときに私の思う「プロゲーマー」は、ゲームを通して周囲に自身の価値を見出してもらっているという意識を備えた者だった。
自分で自分の言葉引用するの、なんだか「主は言った。」みたいな感じがしていいですね。これ。
要するに、「僕はゲームに関わる活動をすることで社会的価値や経済的価値を生み出せるよ~~」って自認している人のことだと思ってます。ポイントは自身のプレイや活動に特別性があることを自覚しているかどうか。
単にゲームをプレイしてお金をもらうだけの人はプロゲーマーではなくただのアルバイトです。ゲームのテスターみたいなもんですね。
さて、実力がめちゃくちゃあって悠々とぷよぷよカップベスト4入りを果たしたあなた。ライセンスプロになったあなたはきっとこう思います。
「え、プロゲーマー、食えなくない?」
ぷよぷよチャンピオンシップSEASON2の賞金は年間合わせても最大値で500万程度。当然全部優勝できるほど甘い世界ではなく、それ以外の収入は案件が入らない限りありません。当然、ただ待つだけで個人にスポンサーがつくはずもない。
自分の特別なスキルをいかにしてマネタイズに繋げていくか。
プロゲーマーになるのが楽勝だった人は、いずれにせよプロゲーマーで生活することの難しさに直面するのです。
すごくわかりやすい例を挙げましょう。
ライセンス非所持・無免許プロと名高い「ぷよぷよ界のブラックジャック」こと
思考行結のDIOさんです。
やってることはプロゲーマーというよりプロオーガナイザーな気もしますが、イベントオーガナイザーとしてのスキル、キャラクター性、行動力などの自分の特別なスキルをチームに買われて、マネタイズに繋げることに成功した人です。彼はむしろライセンスを持ってないことすらも自身の武器にしています。
なので僕の定義的にはプロゲーマーに含めてもオッケーです。いうて彼も国体広島代表になったり自身の主催大会で優勝したりしてますしね。
プロゲーマーになるのが楽勝になって、プロゲーマーが増えれば増えるほど、「プロゲーマー」というだけの簡単な記号は埋もれていきます。自分の凄さを証明する機能を失っていきます。
そうなったとき、自分のアピールポイントを金銭的な価値に転換するための活動ができる人のみが生活できるようになっていきます。なんだか、普通の就活とか商売みたいですよね。
だからプロゲーマーを含むeスポーツ業界で働きたい人たちは、社会人としてのスキルが必要になってくるのです。
「eスポーツ業界で働きたい」って人には社会人として下積みしろ、っていう。働くためには、契約書つくったり、スケジュール作ったり、コード書いたり、デザインしたり、文章書くスキルのほうがゲームの知識よりよっぽど重要だぞ
— 但木 一真@1億3000万人のためのeスポーツ入門発売 (@k_tadaki) October 21, 2019
但木一真 編著、『1億3000万人のためのeスポーツ入門』発売中です。
ダイマです。買ってね
挑戦してみればいいんでない?
結論をまとめると、
「プロゲーマーになるのは楽勝」な世の中に近づいているけど、
「プロゲーマーとして生活するのは難しい」世の中でもあるということですね。
この場合の「生活するのは難しい」という部分は、業界にお金が出回っていないのか、当人のスキルが足りないのか、慎重に判断しなければなりません。
JeSUと経産省が協業している『eスポーツを活性化させるための方策に関する検討会』によると、国内の市場規模は年々拡大していく見通し(2022年時点で波及領域含め2047億円)ですし、省庁や各企業をあげてeスポーツを文化的に発展させるための方策提示や支援も随時行われていくことは予想されますけれども、
結局のところあなたを食わせるのはあなたの能力と努力でしかありません。
プロゲーマーになるということは他のプロゲーマーと食い扶持を奪い合うことに等しいです。
自らが没個性である自覚があるならば、その先は茨の道になることを覚悟した方がいいかもしれません。
でも、あなたが好きなゲームで、誰かにあなたの価値を認めてもらえたことは、とても嬉しかったですよね?
あなたが自分をまだ信じられるのであれば、プロゲーマーという道に挑戦してみるのも悪くはないと思いますよ。
という無責任な夢追い言葉で締めさせていただこうと思います。
自分の人生の責任は自分で取りましょうね。僕は知りませんよ。
それでもなお、プロゲーマーという理想像の求めるハードルが高くて「プロゲーマーになるのは難しいんだ!」と緊縮を促したり、挙句は糾弾までしたくなる人はどうしてもいるかと思うのですが、本人たちが今置かれている状況でよ~~~くわかっていると思うのであんま責めないであげてください。
あとおそらくですが、よ~~~くわかってない人はそのうち勝手に風化して消えます。心配無用です。
きしめんさんありがとね。
それではまた。